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i-dep 恵比寿リキッドルーム

こういったカムアウトを俗に"ぶっちゃける"と言ったりもするが、さて、ぶっちゃけ、筆者はクラブミュージックに通じているとはお世辞にも言えない立ち位置にいると自らを理解している。もちろん、(作曲や編曲、ギター演奏も生業としているので)それなりに様々な音楽を聴くよう普段から心掛けてはいるのだが、しかし、そのジャンルを追求する立場のアーティストからしてみれば、そんなものは素人の付け焼き刃、焼け石に水、赤子の腕をひねるようなもの……最後の一言は少し間違っているような気もするが、それはともかく、筆者は今回のライブを見るにあたって、クラブミュージックに通じていないという自分自身のウイークポイントを逆手に取り、クラブミュージック云々ではなく、純粋に「オーディエンスの前で自分達の音楽を演奏するi-depというバンドを、そして、それに耳を傾ける人々の様子を読者の皆さんにお伝え出来れば……というスタンスで見よう」、そう心に決めたのが、JR恵比寿駅からLIQUIDROOMへと向かう道すがらだったことは、今だから言えるちょっとした秘密である。


LIQUIDROOMに到着すると、フロアでは既にDJが、i-depの登場を心待ちにするファン達をこれでもかと煽っていた。オーディエンスの体温は既に準備万端、会場が暗転すれば、それは今夜のメインアクトの登場を知らせる合図だ。予定より少し遅れた頃だろうか、フロアからの大歓声に迎えられてi-depの面々が登場。「ウエルカム、i-depライブショー!!」というナカムラヒロシの掛け声とともに、この日のライブはスタートした。

i-dep live 恵比寿リキッドルームg

オープニングナンバーの『G』は、スリル溢れる(かつ、遊び心満載の)インスト曲。テンションの高いソロパートを回したかと思えば、ベースの高井亮士が、ドリフにおけるヒゲダンスや、マイケルジャクソンの「Beat It」から借用したと思われるフレーズを繰り出すという、ライブならではのアレンジが映える一曲だ。それに対するオーディエンスの反応を見る限り、1曲目から「つかみはオッケー」。そこへ、"ラブリーフューチャリングヴォーカリスト"のCanaが登場するとフロアは一層の盛り上がりを見せ、それに重なるように『Sign of summer』のイントロが流れてくると、テンションは早くも最高潮だ。ナカムラのMCを挟んで、『Don't stop』、『Tell me more』、そしてそのナカムラ自身がリードボーカルを取る『Hope』へと続く。

i-dep live 恵比寿リキッドルーム

曲間では、フロアから「ヒロシー!」の掛け声。i-depのメンバーとオーディエンスの距離感の近さを垣間見ることが出来る瞬間である。続く『message』『smoking』『shake』『MMB』のメドレーでは、フロアの温度を上げる演奏とともに、最後にはライブらしくコールアンドレスポンス。
ジャンベを抱えたポールがゲストボーカルとして参加した『sunday』『make somebody smile』、再びナカムラがリードボーカルのメロディアスな『Raise your hands』が演奏され、『Tem Que Valer』を経て、Canaが元気いっぱいに飛び跳ねる様子がまさに曲名通りの『Jump!』へ。そして、しっとりと『Choose me』を決めると、i-depのメンバー達は一端ステージから去っていった。
その後、鳴り止まないアンコールの拍手に応えたi-depのメンバーは、色とりどりのお揃いのTシャツで登場。ブラジル的な『Mystic music』を、シーケンスを外したより生演奏に近い形でアットホームに披露した後、「この曲で世界の何かが変われば、と思っています」というナカムラのMCに続いて『Rainbow』のイントロが流れた瞬間、ステージとフロアの境目が見えなくなるほどの大盛り上がり!メンバー達が着るTシャツのカラフルな色と、フロアを照らす鮮やかな照明が、不意に現れた見えるはずもない虹のように見えたのは、i-depの素晴らしい演奏と、それに呼応するように楽しげな笑顔を浮かべるオーディエンスが起こした、音楽の奇跡という名の魔法だったのかもしれない。

i-dep live 恵比寿リキッドルーム

さて、冒頭でクラブミュージックに詳しくないと書いた筆者であるが、i-depのライブに限って言えば、そのような"予備知識的な心得"は全く必要がないと思う。つまり、ある種の頭でっかちな姿勢よりも大切なことは、"楽しむ"という心づもりだということだ。今回のライブで特に印象的だったのは、i-depのメンバーのオープンでポジティブな姿勢と、そうであるが故に、心からステージを楽しむオーディエンスの笑顔だった。ジャンルや理屈やコンセプト……様々な物差しが音楽には(そして、この世界には)あるが、やはり音楽たるもの、ハートで奏で、そしてハートで感じることこそ、もっとも自然な姿なのではないだろうか。LIQUIDROOMからJR恵比寿駅への帰路を歩きながら、筆者はふとそんなことを思った。

(フジモトコウイチ)

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2006/10/20