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『Lontano』一ノ瀬響(cubic music, 14): クラブミュージック&ダンスミュージック:traksy

   

『Lontano』一ノ瀬響(cubic music, 14)

久保田 晃弘

http://www.campus.ne.jp/~ichinose/lontano.htm
http://www.japanimprov.com/indies/cubicmusic/lontano.html

ソロ・デビュー・アルバム『よろこびの機械』(F.R.D. Record)から2年半、作曲家、一ノ瀬響のセカンド・アルバム『Lontano』がリリースされた。本人自らが「できる限り耳を鋭敏にして、丁寧に丁寧に作りました」と語っているように、一ノ瀬ならではの繊細につくり込まれた重層な響きが、耳に優しく、しかし深く鮮烈に染み入ってくる。

前作同様に1〜2分の短いフラグメントと、より長尺の曲がほぼ交互に並べられている。印象的なフラグメントが情景を拡げ、続く長尺の曲がそれを深めていく。アルバムタイトルの「Lontano」が「遠くから」という意味であるように、一ノ瀬の音を聴いていると、近くにありながら遠いもの、遠くにありながら身近なものに、自然と思いを馳せる。

アコースティックであるとか、エレクトリックであるとか、アナログであるとか、デジタルであるとか、そうした先入観に囚われず、まずは一ノ瀬の音全体をなるべくそのまま受けとめてみる。すると最初は気がつかなかった、さまざまな音の囁きや蠢きが聴こえてくる。それは音を直接知覚しているようでもあり、記憶を参照しながらプロセスしているようでもあり、人間が本来持っている感覚や知覚の奥深さをかみしめる。人は自分が思っているよりも、ずっと遠くに行けるはずなのだ。

おそらくこの作品は、僕にとって、これからも幾度となく聴き返す大切なアルバムの一枚になるだろう。一見優しそうなたたずまいの中に、しっかりとした芯を感じさせる。そんな音とは、きちんと正面から向い続けていきたい。何かを聴くということは、鏡を見るようなものである。そこには常に、自分に対する驚きと喜びがある。

久保田 晃弘

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